子供自身が考え「探究の質」を高める授業改善を

 

今回の学習指導要領の改訂によって小学校理科では問題解決の力が新たに示されたことで、教師側の指導の方向性もより明確になり、それに伴い指導方法の見直しが求められると考えられます。以下に問題解決の力の育成のための、指導方法の見直しの視点を2つ示します。

①問題解決の力の育成は、能力を育成することそのものだと言えます。そのため理科の授業において、「事象への働きかけ、問題の把握・設定、予想・仮説の設定、検証計画の立案・・・」といった、問題解決の「手順」を子供に理解させるだけでは能力の育成とは言えません。なぜならば、問題解決の力の育成は、「実体験を通してどのように自分事として思考させるのか」が重要になり、そこに「子供の思考」がないといけないからです。このことから、「この授業では子供に何を考えさせることが大切なのかについて、教師があらかじめ考えること」が指導方法の見直しの視点の1つになります。

②問題解決の力は、子どもが「科学的に」解決していくことが前提です。そのため、先述の4つの問題解決の力を「方法知」として教師が子供に「教え込む」ことも、本来の趣旨から考えると育成しているとは言えません。なぜならば、例えば「問題を見出す」といっても、どのようなことを問題とするのか、「より妥当な考えをつくりだす」といっても、どの程度までの妥当とするのかなど、これまでの経験や学習状況によって探究の程度が異なるからです。つまり、科学的に解決して、より合理的で妥当な解を導いていくという「探究の質」も高めていく必要があるのです。このことから、「この授業では子供にどこまで考えさせることが大切なのかについて、教師があらかじめ考えること」が指導方法の見直しの視点のもう1つになります。

このように、問題解決の力は「手順」や「方法知」として理解させることが目的なのではなく、子供自身が考え、「探究の質を高めることとはどういうことかについて、経験を通して理解させること」が大切になるのです。

投稿者プロフィール

寺本 貴啓
寺本 貴啓國學院大學人間開発学部 准教授
博士(教育学)

1976年兵庫県生まれ。静岡県の小・中学校教諭を経て、広島大学大学院に学んだ後、大学教員になる。専門は、理科教育学・学習科学・教育心理学。特に、教師の指導法と子どもの学習理解の関係性に関する研究、その周辺の学習評価、教員養成、ICT機器を活用した指導に関する研究に取り組んでいる。また、小学校理科の全国学力学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、小学校教科書編集委員、NHK理科番組委員等を経験し、小学校理科を研究の基盤としている。

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8月 19, 2018